カナダの格安航空ウエストジェット航空が仕掛けたクリスマスサプライズです。
空港内に仕掛けられた”サンタボックス”に近寄ると、画面上にサンタさんが現れ、プレゼントに何が欲しいか尋ねられます。
それを聞いたスタッフがそれらのプレゼントを買いに走り、彼らが目的地に到着したときに荷物受け取りのベルトコンベアーから流れてくるというドッキリです。
すごく素敵なサプライズだと思います。
プレゼントを受け取った人の笑顔をみているとこちらも幸せな気持ちになります。
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広告という観点から
ウエストジェット航空がやりたいこと。
1、広告に予算はかけられない
2、いいブランドイメージを認知させたい
このウエストジェット航空と同じ状況の会社って世の中にごまんとあります。むしろ数パーセントの大企業を除いて全てが当てはまるのではないでしょうか?
この二つを満たすことを考えて見ましょう。
1.費用について
まず一つめの予算について。より多くの人にリーチするためにはやはりテレビが強いのは確かです。しかしその分コストも飛びぬけて高いのも事実です。
制作費(30秒のスポットCM):地方局で約$200~$1500(2万円から15万円)、全国放送で平均$342,000(3400万円)
放映料:
<地方局> 約$200~$1500(2万円から15万円)
<全国放送> アメリカの一番の人気イベントであるスーパーボールは1スポット$3.5 million(3億5千万)、アメリカンアイドルは1スポット$475,000(4700万円)。どんなに人気のないスポットでも最低$100,000(1千万円)はかかる
テレビ広告を使うと、先述のように莫大なお金がかかります。そしてそれは航空券の価格をあげてしまう要因となり、”格安航空”としてのメリットを削ってしまうことになります。
それに比べて今回のウエストジェット航空の場合はYoutubeでのバイラルなので放映料はタダです。コストはプレゼント代だけ。恐らく多くても1万ドル~3万ドル(100万円から300万円)くらいだと思います。
これにより格安航空としてのメリットを保ちつつ、たくさんの人にウエストジェット航空の名前を知らしめることができたわけです。
2.いいブランドイメージを認知させる
この動画の特筆すべきはこれが人々に広告という受け取られ方をしていないことです。Facebook的にいうと”いいね”という感覚でみんなにシェアをしているだけです。
しかし、この数分の動画から「ウエストジェット航空"フレンドリー"で"ユーザーを喜ばせる会社"」というイメージを与えることに成功しています。
2013/12/26時点で33,441,853人にリーチしています。しかも"好意的に"です。
旧来のテレビCM型の広告はどうしても”売られている”,”知らされている”感を与えてしまうことが多く、どれだけ美辞麗句を並べてもその数パーセントしか伝わらないというのが実情です。逆に悪いイメージを与えるかもしれません。
それに比べてウエストジェット航空のやり方は、あくまで”こんなことをやっているよ”という事実を人々が素直に”おもしろい!”と受け取り、知り合いに教えてあげたにすぎません。彼らにとってこれは広告ではないのです。
彼らの認識では「ウエストジェット航空が自ら知ってもらおうと告知したわけではなく、たまたまニュースに取り上げられた。」出来事なわけです。
こうなると人間の心理的バリアは相当下がります。ウエストジェット航空の伝えたいことが100%伝わる準備ができてしまいました。
まとめ
旧来型のお金をかければいいCMを作れる、人々を感動させるCMが作れる、 それはそれで正しいと思います。否定はしません。しかし大多数の会社はそんな体力はなくて、手元にある武器でなんとかブランド力を強めたり、売り上げを上げたりしなければなりません。20年前ならばそれはとても難しいことだったかもしれせんが、今は可能です。
パソコンとインターネットがあれば、誰でも広告が作成できて、かつ放映することもできるのです。しかも”広告”に対する人々の心理的バリアをかいくぐって直接ユーザーの心にタッチすることができるのです。
「正攻法では今の時代を生き抜くことはできないよ。もっと頭を使いなさい。」
ウエストジェット航空が改めて教えてくれたような気がします。