まずはこのニュースを。
米Yahoo!、「Yahoo! Directory」閉鎖を発表 20年の歴史に幕
タイトルで内容は把握できると思いますが、米ヤフーで長らく会社を牽引してきたディレクトリサービスが終了したというニュースです。インターネット黎明期はまだ世の中のWebサイトも限られており、またGoogleに代表されるロボット検索の質が現在のように高品質ではなかったため、電話帳型のディレクトリ検索が重宝されました。
利用された方ならご存知かと思いますが、ディレクトリ検索の良いところはあらかじめYahooが審査し、合格と判断したサイトが掲載されているため、一定の安心感を持って利用することができたことも流行した理由でしょう。
ディレクトリ型からロボット検索型へ
やがて検索の主役はディレクトリ型からロボット検索型へと移行していきます。
一番の理由は とにかく楽 であること。
Googleのトップ画面には検索窓が置いてあるだけ。昔から変わりません。知りたい情報のキーワードを入れればあとは勝手にロボットがさがしてきてくれます。検索エンジンの品質向上もあいまって、あっという間にこのロボット型の検索エンジンはディレクトリ検索を飲み込んでいきました。
もうひとつの理由はWebサイトが爆発的に増えたことが挙げられます。Yahoo創業当時の1994年にはたった2738個しかなかったサイトが2014年では7億弱まで膨れ上がっています。
出典:http://www.internetlivestats.com/total-number-of-websites/
ちなみにこのページでWebサイトの増加がリアルタイムで見ることができます。
Total number of Websites
7億ってすごいですよね。普通に考えて、人間の手でディレクトリにするのは不可能です。無理やりつくったとしても、ほとんどのサイトを網羅できていない点で、公平性に欠けてしまいます。
2011年と2012年です。
直近3年くらいが前年比30%くらいの伸びだったのに、いきなり倍になっています。
マルチデバイス化の波
これはおそらくタブレット・スマートフォンの普及しょう。
マルチデバイス化によって、1つのサイトもデバイス分の数がつくられることになりました。*レスポンシブデザインになっているものは別
これらもひとつひとつ別個のサイトとみなす場合、今後Apple watchなどのウェアラブルデバイスが伸びてきたときはまた大きな増加が起きることが予想されます。
検索エンジンの詳細な仕様はわかりませんが、Webサイトが今の10倍、100倍になったときは今とは違った仕組みが登場するでしょう。
もしかしたら処理高速化のために専門特化した複数のサーチエンジンができるかもしれません。
まあこのあたりはバックエンドの変更だけで、ユーザーインターフェースはそのままかもしれませんが。
音声認識の発達
AppleのSiriに代表される音声による検索も忘れてはいけません。
Webシステムの発展は、人間を楽にする方向に舵をきっていきます。
ディレクトリ検索では何度もクリックをして、自分で目的の情報を探す、いわば人間の裁量によるところが大きく存在しました。それがロボット型に移行することで2,3のキーワードを入力することで検索エンジンが”提案”をしてくれるようになりました。これは飛躍的に人間を楽にしています。
現在主流の文字をタイプする検索と音声検索を比較したらどうでしょうか。
人によっては(特にプログラマーは)しゃべるよりもタイプするほうが楽という人もいるかもしれませんが、大多数のひとは手を動かすよりもしゃべるほうが断然に楽だと思います。
ここに新たな検索エンジンの可能性があります。
つまり検索窓も何もなくて、ボタンを押してしゃべるだけ。これが発展するとおそらくスマートフォンやタブレットに簡易ボタンなんかがついてくるかもしれませんね。
音声の優れている点は、楽ということに加えて、感情を表すことができるができる点だと思います。
例えばある商品のクレームをしたい場合に、今にも噴火しそうな「どこどこにクレームしたい!」と、冷静に「どこどこにクレームしたい」では意味合いが微妙に違うと思います。
前者は間違いなくクレーム先の電話番号が正解ですね。こういうときはしゃべって発散しないと収まらない。
後者はコンタクトフォームのほうがいいかもしれません。電話をかけるまではいかないが、どういう不満があって、今後の糧にしてほしい 程度の可能性があります。
このような感情による検索結果の出しわけは文字ではなく、音声ならではの発想です。
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人工知能の発達
音声認識とあわせて人工知能が発達したらどうでしょうか。
現在でもアカウントにログインしている限り、その人の検索ヒストリと照らし合わせて最適な結果を出すようにはなっていますが、あくまでも自分が検索窓に入れて、ポチッと検索ボタンを押したものに対しての(もしくは閲覧したサイトに対しての)提案です。
これが音声認識+人工知能搭載のエンジンだったら、おそらく友達や家族に話しかけるように検索が可能になるのではないでしょうか。
例えば、
「来週の連休にどっか行きたいんだけど、お金があまりないんだよね。でもどっか連れていかないと彼女に怒られるしさ、なんかいい案ない?」
というふうにエンジンに話しかけたとします。この会話の中には4、5個の要素が入っています。
2.お金をかけたくない
3.彼女も一緒に行く
4.おそらく連れて行かないで怒られた経験がある
5.おそらくどこかに行くのが目的ではなくて、彼女を怒らせない有意義な連休の使い方があればそれでもOK
今の検索エンジンでは残念ながら、これだけ多くの要素を加味していっぺんに処理することはできません。
同じ質問を友達にしたらどういう回答が予想されるでしょうか。
例えば、
2.この前、スカイツリー行きたいっていってなかった?だったらスカイツリー行ってみたら?
3.俺も予定ないから、みんなでバーベキューしようよ
などなど、到底今の検索エンジンではでてこないような結果が返ってきそうです。急な仕事うんぬんなんて、対人間じゃなかったら絶対でてこない回答です。でもこれも質問の答えとしては『あり』です。
これをエンジンが実現するには、ある種、検索エンジンが人格をもっていて、自分だったらこうするね とか、誰々はこうしてうまくいってたと いうようなもっと人間味のある結果を返す必要があります。
もちろんその人格は単一ではなく、心地よい友達も人それぞれなので、この人格搭載エンジンは提案に対して選ばれた結果はブラッシュアップされて次の検索に活かされていきます。つまりは、完璧な友達エンジンに昇華していくというわけです。
行動による検索
身の回りのあらゆるものにコンピュータが内蔵されてネットワークでつながって、快適な生活を云々・・ は数年前から語られているインターネットの未来話ですが、これが実現すると、全ての行動が24時間体制でトラックされることになります。
すると、土曜日の午前中は本を読んでいることが多いから、ベストセラーの本を勝手に提案してくれるかもしれません。火曜日は仕事帰りにジムに寄ることが多いから、月曜日の夜はワークアウトに関する提案をしてくれるかもしれません。
こうなってくると検索は能動的なものではなく、無意識下で行われることになります。
脳波による検索
行動まで感知できるようになったら、あとはもう脳波しかありません。
自分がそうだ!と思っていることでも本音は違うことってありませんか?
例えば大学を卒業して就職セミナーのエントリーをしているけど、本当は、頭のどこかに海外に留学したい! という気持ちがあったらどうでしょうか。
理性と感情の話にもなるので賛否両論あると思いますが、海外留学に関する情報を提案してあげるのもまたひとつの解である気がします。
まとめ
今回の投稿を書いていて再認識したのですが、おそらく今のロボット型の検索エンジンなんて、これからの検索の歴史からみたら初期の初期でしょうね。栄枯盛衰じゃないですが、もしGoogleが脱ロボット型検索エンジンに失敗したら、あっという間にパラダイムシフトが起きて、過去の産物になってしまうでしょう。
自分が生きているうちにどこまで進化するかはわかりませんが、Googleの栄華がはじまって10数年。そろそろ次の未来が見たいと思いませんか?
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